中華鍋事始

中華鍋を購入した。底が平らでなくて、球体の一部を切り取ったような、鉄製のおわんだ。種類があって、中でも握り手がついているものは「北京鍋」というようだ。直径が33センチのものを選んだ。もう一回り大きいのが魅力的だったが、あまり振り回してガス台が壊れてしまっては困ろうというもの。なにぶん鉄製とあって少し重い。
鍋に合わせて直径11センチの柄の長いお玉も購入した。握り手の一部が木製になっているが、それ以外は鍋とおなじ鉄製だ。よく見るとお玉の大事な部分が中華鍋と相似形をしている。
いってみれば、中華の炒めものは、強い炎の真上で、直径33センチの大きな「中華鍋」と、片や直径11センチの小さな「中華鍋」とのぶつかり合いから生まれてくる。
むしろ「直径33センチ」VS「直径11センチ」の「お玉」のぶつかり合いといってもいいかもしれない。

「初めてご使用になる際の手順」という栞(しおり)が鍋の底に貼り付けてあった。
手順

  • 強火で空焼き:①塗装が焼け煙がでる②さらに焼き、こげ茶色に変色③さらに焼き、青黒くまたは青白く変色④フチまで変色して終了(約10分から20分)
  • 鍋を冷まし、食器用洗剤とたわしで洗浄
  • 水分をふき取り乾燥
  • 食用油でクズ野菜を炒めて油を馴染ませる
  • 食器用洗剤で汚れを落とす
  • 水分をふき取り乾燥
  • 食用油を塗る

変色の様子が最初わからなかった。お玉をやってみたら変色がどういう状態かわかった。鍋が変色するまでやったら一時間以上かかった。キッチンは熱くなって玉のような汗が額から落ちてくるは、ガス代は気になって冷や汗が出てくるは、体重が落ちた。

さっそく夕方には、ナスが結構あったのでマーボナスをつくった。強火で炒めるのがよいとあった。鍋の空焼きの熱さを経験すると、強火が強火でなく優しい炎にみえてきた。
鍋とお玉がぼくのヘソあたりにくるように、ガス台の前に踏み台をおいた。そうしないと腕が疲れてしょうがない。

∇中華鍋を買うのは勝手だけれど、なんでもそれで済まそうと思ったら大間違いと思う…