「ラヴェンダーの咲く庭で」

仕事をおえてから家にかえって、遅い夕飯をすませて、映画をみた。
何日か前からDVDを借りているんだが、なかなか見るチャンスがなかった。
結局観ることなく返却してしまうのかな、と思ったけど、今日は結構元気があったので、みられた。

生への憧憬をテーマに人生と芸術を描いていく点は、そうだなあ、「ベニスに死す」と共通していると思った。

「ベニス…」は日常生活から遊離したデカダンスをモチーフに光と音を重ねていった。

今日観た「ラヴェンダーの咲く庭で」は、普通の人たちに起こりうること、年齢を隔てた異性への恋心をモチーフに映像を紡いでいった。

奥さんを失って長い、年寄りの男性の若い女性への恋心。
年を重ねた未婚の女性の、ある日突然の若い男性への恋心、というより「恋」そのもの。
それぞれが成就されるはずないから、どちらも、はかなく、そして美しい。

そして、恋とくに初恋は、年が若いかどうかには関係なく、相手への誤解が大事な要素だ。
その誤解が誤解をよび時には「正解」という名のさらに深い誤解を導き、日常と非日常と、邂逅と別離と、人の幸せと不幸を織りなして、時を重ねていく。

人生の「波乱」という絶対値が大きいか小さいかは、人によって、そして当人の感じ方によって異なる。

でも、やがて人生はゼロサムへ。

そうやって名もなき人々が幾千億の涙と笑いと平穏と怒りを、大地にしみこませていく。そして、僕も。



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