ヨーグルトの酢っぱさをひきたたせる

バルサミコ酢とケッパー。自家製にて。


最初のヨーグルト菌は市販のプレーンヨーグルトから受け継いだものだった。

大さじ2杯のヨーグルトを、1リットルの牛乳パックにかき混ぜ、一晩で急速に菌を培養させる。
一晩にして、だいたい7〜8時間ほど、40℃くらいの加温をつづけるとパック内の牛乳がヨーグルト菌によって、ゆるい自家製ヨーグルトになる。

ポタージュよりも固く、絹ごし豆腐よりも柔らかい。
飲むともいえるし、食べるともいえる。

好みのジャムを少し入れ、かき回し、市販のヨーグルトのように食べやすくするのもよい。しかし、赤ワインビネガーか、バルサミコ酢を、少し滴下すると、もともとのヨーグルトの酸っぱさが、ひとつの楽しみに醸成する。


牛乳パックのままヨーグルトを、冷蔵庫に移動すると培養はほぼ止まる。
2日位で食べきる。

食べきる前に、あらたな1リットルの牛乳パックに最後の2匙を仕込み、ヨーグルト菌は子孫を引き継ぐ。


牛乳に似た「乳飲料」はヨーグルトに適さないと思うが、実験はしていない。
やはり成分無調整の牛乳を選ぶ。しかし、種類別が「牛乳」でも、値段にして1リットル140円台のものから、230円くらいのものまで、たくさんの品が店先に並んでいる。

値段の違いはどこにあるのだろう。

パッケージからなにか読み取れるだろうか。
無脂乳固形分8.6%以上、乳固形分3.6%以上、原材料生乳100%に違いはない。
殺菌方法がちがう。偶然手にしたものは、66℃30分と130℃2秒との違いがある。低温殺菌の方が料金は高い。
思うに、生産工程の違いもあるだろうが、やはり流通で料金の違いもでてくるのだろう。


値段の違いは、乳牛の育て方に関わるとすると俄然興味がひきつけられる。

できれば乳牛の生育飼料にあまり添加物のないものがいいな、とは思う…。
購入した原価に諸固定費按分した以上に稼いでもらわないと、経営がなりたたなくなってしまうから、牛が元気になる配合飼料はまだいいかな(汗)とおもう。
けれども、もしかして、毎朝牛乳が出やすくなる魔法のクスリがはいっているとかだと、大丈夫かななどと心配してしまう。

むかしおばあちゃんのうちで、ヤギを飼っていた。特別な飼料を与えるわけでなく、普通のいわゆる雑草や藁や大根やニンジンのしっぽなど野菜くずを食べていただけだと思うけど、ほんとに濃いチチをだしていた。
湧かすと、湯葉のような膜が印象的だった。
そのとき子ヤギがいたかどうか忘れたが、この滋養あるチチをヤギから横取りしていいのかと子供ごころが痛んだ記憶がかすかにある。


牛乳を出す乳牛にも、卵を産み出す鶏にもいえる事だが、牛乳も卵も、親が何を食べているかどんなケージの中で生活しているかがなかなか見えてこない。
安く手軽に手に入れられるようになった「商品」を享受するその裏側で、なにか、大きな代償を支払っているのでなければいいなと、つねに思ってしまう。