岩魚のすし。残りの二尾は開いて塩焼き

すしめしの上に岩魚

世話になっている近くの川○さんに、岩魚(いわな)を3匹いただいた。さっき釣ったばかりのものだ。沢が増水した後は釣果(ちょうか)があるといっていた。
さて、ワタをとり、串うって塩焼きをすれば、手がかからない。しかし、ほかの調理をしてみようと思う。
少しだけからだが大きい一尾をおろして、握りにでもしよう。残りの二尾は開いて塩をふって焼く。開く必要もないけど、しばらく包丁を握っていなかったので、いい機会ととらえることにしよう。錆びた鯵切りにやっと出番がくる。研ぐと手元不如意のため必ずといっていいほど指を切るので今日は簡単に錆をぬぐうだけにする。大物をやるわけじゃないし…。なんて言うと、岩魚が成仏してくれないな。

新鮮だ。まったく臭みがない。えらの色は鮮血色。小さな胃袋を切りあけたら、まだ未消化の羽虫や水草の一部などがでてきた。
蜂の子も食道からでてきた。川魚にはめずらしい内容物。これは川○さんが釣り餌にしたものだろう。

包丁の背で皮をなんとか剥ぎとって、3〜4センチくらいの「ミニ握り」が十個くらいできた。
すし飯は、できあいの『すし酢』で簡単に。新鮮な岩魚を味わうには薄めがいい。新鮮だし、養殖じゃないから、におい消しの生姜もネギもいらないだろう。ワサビも挟まない。
さて、ミニ握りを右手でつまみ、口へ運ぶ。そのついでに、小皿にのった醤油にちょっと立ち寄って、スッと口の中へ。
この動作は、なんのよどみもなく一動作でなければならない。醤油はつけすぎてはいけないし、ご飯粒がおちてもいけない。他のことに顔は向きつつも、意識の30%はこの無駄のない動作に集中していなければならない。

開いて塩だけをふり、焼いた残りの二尾の岩魚。もちろん皮もたべられる。養殖にはない身のしまりがある。

先日開けた辛口の吟醸に、氷をひとかけらいれて、半透明のガラスの器で。

…うむ、至福のとき

氷は、もちろん清水からくんだ水を凍らせておいたもの。クルマで20分くらいいったところに湧き出ているのがお気に入りだ。クルマからおりてそんなに歩かないで汲めるのも気に入っている。その清水近くの沢から汲んでも水質に問題はないと思うが、地中でろ過して空気に触れたそのとたんに頂く清水が、甘くておいしい気がする。
ご飯を炊いたり味噌汁にももちろん使う。水道水はもっぱら食材や食器の洗いに使う。水道代も助かろうというもの。水不足の対応にも一役かえる。
下村工業 大門屋影綱作 出刃庖丁 打刃物 150mm DKT-W14
∇ちっこい魚おろすのは勝手だけれど、「鯵切り」はちゃんと砥いでからだな…