『王様の漢方』

万里の長城での撮影許可を出すくらい、当局も前向きに映画をとらえてくれたんだなあ。

王様の漢方 特別版 [DVD]

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漢方という医療の本質を描いていたと思う。
西洋の精神と肉体を分ける二元論から、現在の医学は発展してきたし、もちろん人間はその結果を十分享受している。不治の病といわれるものも少なからず克服されてきている。
結果、人間は平均的に長寿になった。早死にをしなくて済むようになった。

しかし、長寿になったんだけど、一方で自殺する者がふえていることも、社会の実相だ。
医学と医療技術の進歩はすすむ。これは大いに歓迎すべきこと。だがそれだけですべてOKといえない現実が進行しているということじゃないだろうか。たんに長寿だけが「幸せ」なのかなって。

西欧的二元論で考えれば、肉体的に長寿であることと同時に精神的にも長寿であることが求められているのだろう。


漢方はどうか。肉体と精神をそもそも分離させていないのじゃないか。どちらかといえば対処療法的な即効性は、肉体面にのみ的をしぼった西洋医学医術のほうがあるといえる。しかし、時間はかかるかもしれないが、まるまるひっくるめてそっくりよくしてい、という観点にたった医術があるということだ。東アジアには。