ミッドナイト・エクスプレス

レンタルした。
結局、自分で法を破ったから投獄されたわけだし、政治的な駆け引きに巻き込まれてしまったのも、そんな危険な時期に危険な地域に接近するからだ。
そりゃ面白い旅行だっただろうと思う。他国に旅するというのは、文化伝統の違いもそうだけど、法の違いもはっきりある。法というのは時の決まりであって、よく「悪法も法なり」といわれる。どこに基準を置くかで、悪なのか善なのかも変わってくる。とにかく決まりであって、それが異なる地域に足を踏み入れた途端にその法の枠の中で、行動は規制されてしまうものだ。治安のきまり、裁判のきまり、罰則のきまり…。
ミッドナイト・エクスプレスの主人公の場合、自分で把握しているかどうかは別として、ハイリスクな旅と行動をとったということだ。
ハイリスクなら「良い結果」「悪い結果」どちらか好きな方を選ぶわけにはいかない。さらに「悪い結果」をチャラにしてくれというのもゲームに参加した以上、往生際が悪い。そういう人はゲームに参加してはいけないんだろうと思う。結果が出る前の、ゲームへの参加不参加の行動は自由なんだろうから。
ミッドナイト・エクスプレスの主人公は、ハイリスクなゲームに参加して、負けたのだと思う。その自ら負った負債があとから変更されたって、そこの「法」と「執行の決まり」で、最初から死刑といわれていたらその負債を負わざるをえないのだから、変更されたって理不尽かもしれないけど、彼の場合法を侵しているので主張は弱い。
人類の今までの歴史の中で、こういったハイリスクなゲームにとりこまれて、大富豪になったもの、無残に虫けら同然に死んでいったもの、たくさんの記述しきれないほどの、事例があったのだと思う。

この映画の場合、始めからフィクションとしたほうがテーマは時空間を自由に飛びまわり、人の心に大きな力をもったのではないかと思う。

ショーシャンクの空に』も刑務所でもみくちゃにされる人間を描いているが、この『ミッドナイト・エクスプレス』はショーシャンクのテーマと同じではない。ミッドナイトのテーマは法とか国家とかに翻弄される個人であり、ショーシャンクのテーマは人の弱さと冤罪に翻弄される個人がテーマだ。